無借金経営とは

無借金経営とは

2020.2.13

多くの人から「無借金経営とは?」「無借金とは?」と尋ねられることが多くあります。当然無借金ですから、借入金が無いことです。
しかし経営における借入金は、赤字が続きその赤字補填のための「赤字借入金」。会社を運営する上で必要な「運転資金」。成長発展に使う「投資借入金」。それぞれ借入金の性質が違ってきます。

2017年あたりから上場企業においては財務体質を強固にするため、2000社以上の会社が「実質無借金経営」となり財務体質が強化されていることが日経新聞に記載されています。何かあったときのために現金預金を蓄積しているということではないでしょうか。昨今は設備投資する時ではなく、近い将来の投資に備えるなどの思惑があるのかもしれません。しかし上場企業もバブル後の貸し剥がし、リーマンショックの衝撃を忘れろと言われても忘れることはできないのではないでしょうか?そのように考えると堅実経営の中小企業も同じではないかと思います。

先日の日経新聞、中国地方版に「倒産増 粉飾が一因」と出ていました。やはり赤字借入金の蓄積が今となっては大きくなり、今日までその赤字資金を調達するため粉飾決算を続けたのでしょう。そして今その粉飾が表面化したと考えるしかありません。しかもこの粉飾が目立つのは業歴30年を超える老舗企業とのこと。

やはり借入金は、資金調達の基本に忠実であることが大切であると思います。
資金調達の基本は、運転資金は短期借入金。すなわち在庫・売掛金と買掛金の差は短期借入金で賄う。在庫を売って、売掛金を回収すれば短期借入金は返済できる状況であることです。(これは銀行が計算する運転資金の算式です。)

また設備資金については、キャッシュフローを考え減価償却費と税引後利益から確実に返済できると確信できる資金を調達することです。その減価償却費と利益から返済期間は自ずと計算できます。返済期間が短いと資金繰は一瞬に行きづまります。

そこで私の事務所では、借入金と現金預金が一目でわかる「社長の貸借対照表®」を作成しています。この「社長の貸借対照表®」を見ると、借入金が一切無い「完全無借金経営」か、預金(金庫の金額)が借入金より大きい「実質無借金経営」か、それとも長期借入金によって工場などの土地・建物、機械などの設備という固定資産に投資をしている「適正借金経営」なのか、一目でわかるようになっています。

私の35年の実務経験からみると、業種業態によっては「完全無借金」で経営している会社もあります。また預金が借入金を超えて内部留保されている「実質無借金」で経営することも大きな意味があると思います。そして成長発展のための設備投資も不可欠です。適正な借入金によって資金を調達することはごく当たり前の事です。
ただし会社はいつ何時不測の事態が起こるかもしれません。まさかのときのために保険に加入する。銀行との付き合いを大切にする。内部留保を蓄えることが大切であると思います。
そう考えると自ずと無借金経営とはいかなる経営か、無借金経営の必要性がわかると思います。