資金の調達と運用、あるべき姿を説明する

資金の調達と運用、あるべき姿を説明する

2019.8.1

10年前、リーマンショックの影響から中小企業が行き詰まり、中小企業金融円滑化法によって多くの会社が助かりました。その時、中小企業を支援するために行ったのがバンクミーティングでした。現在この法の助けを借りた多くの会社はリファイナンスを実行し安堵しているところです。

その後、銀行取引は「事業性評価」によるとの事から、この方法を研究しましたが、事業性評価のフォーマットを中小企業にあてはめる事に困難を極めていました。
SWOT分析、サプライチェーン、5フォース、3C、4Pなど記載しようと思えばフォーマットを埋めることはできる。しかしこれを書いたからといって事業の将来性がわかるかどうかわからない。暗中模索の思いから悶々とした年月を過ごしてきました。

そんな中、本年初頭に、関与先の新たな資金調達と既存借入の組み替えが緊急課題であることがわかりました。早速、決算終了後、取引銀行、そして、新規の銀行に決算報告会のご案内を差し上げたところ、ご案内したすべての銀行が出席され決算報告会を開催しました。

その決算報告会では、社長から将来の夢、直近での戦略、今後やらなければならないこと、など自由自在に将来展望を説明してもらいました。その後、詳細な決算報告とCRDの経営診断報告、資金調達と運用の状況、今後理想とする銀行取引などを私が説明しましたところ新規の銀行はじめ既存銀行もこの決算報告会に感動していただき、新規の銀行2行との取引も開始でき、既存銀行との取引も理想の姿に変更することができました。

そのことに気を良くし、今日までに3社の決算説明会を実施いたしました。その結果決算報告会を開催したすべての会社において新規の銀行から資金調達の提案を受けるとともに既存銀行の調達スタイルも会社の理想に近づけることができました。まさに銀行とwin-winの関係を築くことができたと思います。

各銀行においては、短期で調達すべき資金と長期で調達すべき資金を明確に区別することをお願いし、そして私が常々提唱している無借金経営の本来のあり方を説明いたしました。

無借金経営には、完全無借金経営(一切借入金がない)。実質無借金経営(借入金以上の預金がある)適正借金経営(短期借入金は在庫・売掛金の回収で返済できる。長期借入金は確実に資産を売却することで完済できる)の3つのパターンがあります。
この無借金経営を20年以上にわたって私はアドバイスしてきました。

今日における企業の資金調達は金利が安いことから実質無借金経営および適正借金経営が理想であると思います。このような資金調達こそ会社にとっても銀行にとっても理想の姿ではないかと考えています。(実質金利という問題もありますが、あまり神経質にならない事です。)

そのために事業性評価のフォーマットを完璧に完成させるアドバイスより、「社長のやりたいこと」と「資金調達の方法」を決算報告会などで銀行にプレゼンテーションする方が有益であるということがわかりました。